借地権、再建築不可、テラスハウス⇒安いけど注意

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やけに安い中古戸建の物件を見つけました!

⇒ちょっと待ってください。物件情報に「借地権」、「再建築不可」、「テラスハウス」と書かれていませんか?

これらはマイナス要素があるから安いのです。購入はマイナス要素を理解してからにしましょう。

本ページは難しい説明が続くのですがざっくりと言うと以下です👇

【借地権】
ややこしい法律がいっぱい

自由に建替えや売却ができない(地主の許可が必要)
借地契約はずっと続けることができる(地主は契約停止する権利がない)

【再建築不可】
全損すると建て直しができない。
でも抜け道で大規模なリフォームはできる。

【テラスハウス】
壁が共有されているので騒音問題がおきる

上記のデメリットがあるから資産価値が低くなり、価格が安くなっています。

借地権⇒「手を出すと面倒くさい」

借地権とは、建物の所有を目的として土地を借りる権利を意味します。

土地を借りているので土地代を土地所有者(地主)に支払う必要があります。

さらに、物件の建替えや売却に地主の承認を貰う必要があります。

さらに、地主に承諾料を支払うケースがあります。

地主が不許可!と言ったら建替えや売却ができません。面倒なことが多く地主の顔色も窺わないといけません。(地主の視点からみると、自分(地主)の土地を取り返せないという嘆きもあるのですが)

以降で借地権の概要を説明しますがややこしいので「手を出すと面倒くさそう」と認識してくれればOKです。

借地権のメリット・デメリット

借地権のメリット
  • 所有権に比べて購入価格がとても安い
  • 土地の固定資産税、都市計画税不要
  • 資産価値が低いの相続に有利
借地権のデメリット
  • 毎月地代を地主に支払う
  • 借地期間の更新で更新料を支払う必要がある
    ⇒更新料:「更地価格の3%程度」や「借地権価格の5%程度」
  • 建物の売却時に地主の承認がいる
    名義変更料が発生する(固定資産税評価額×0.2%)
  • 建替え時に地主の承認がいる
    建替え承諾料が発生する(更地価格( or 土地の時価 )の3~5%)
  • 所有権に比べて資産価値が低い
  • 資産価値が低いため売却が難しい(出口戦略が弱い。ずっと持ち続けるならOK)

上記のように、地代以外にも契約更新、建替え、売却時に大きな金額が発生するので注意しましょう。

借地権付き物件は物件概要でこう記載されているよ

SUUMOの物件概要を例に見ていきます👇

所有権

所有権の場合は、「土地の権利形態」に「所有権」と記載され、諸費用は空白です。建物も土地も所有します。当然、土地代はかかりません。

普通借地権

普通借地権で毎月12,000円を土地代として地主に支払うようにと記載されています。

借地期間は30年の記載なので、30年経ったら普通借地権の更新が必要です。

普通借地権の特徴は以下です👇

普通借地権の特徴
  • 契約存続期間は当初30年、1回目の更新で20年、2回目以降は10年
  • 借地契約の更新が可能(正当な理由がない限り地主からの更新停止はできない
    ⇒借地人が望む限りずっと土地を借り続けることが可能で、地主は土地を取り返すことができない。
  • 契約終了時に借地人が建てた建物が残っている場合、地主に買い取り請求ができる
  • 火事等で建物が消失した場合、借地権は消滅する
    ⇒普通借地権は「建物の所有を目的として土地を借りる権利」のため
  • 売却、建替えに地主の許可が必要(更新料がかかる)

旧借地権

旧借地権で毎月15600円を土地代として地主に支払うようにと記載されています。

さらに、名義変更料の約40万円を買主が支払うようにと記載があります。通常は売主が支払うのですがこの物件は買主が支払わないといけないようです。その分物件価格が安くなっていたので名義変更料を考慮した価格なのでしょう。

旧借地権は大正10年に制定されており、新法が制定された1992年7月31日以前の借地権が該当します。コンクリート造や木造で契約の存続期間が変わります。

普通借地権新法と大して違いはありません。

定期借地権

定期借地権で毎月25,200円を土地代として地主に支払うようにと記載されています。

借地期間が満了する31年後に物件を撤去し更地にして地主に返還するように、と書かれています。

定期借地権は、普通借地権と違い以下の特徴があります👇

定期借地権の特徴
  • 契約存続期間は50年以上
  • 契約の更新はできない(普通借地権は更新できる)
  • 契約期間満了時に、建物を取り壊して更地にして地主に返還しなければならない
  • 用途の制限がない借地権(普通借地権は用途の制限があり、自由に建替えはできない
  • 建替えは地主の許可不要で自由にできる
  • 火事等で建物が消滅しても定期借地権は存続している(普通借地権の場合は借地権消失)

借地権のまとめ

借地権は物件価格がとても安いというメリットはあるのですが、売却や建替えで地主との交渉や承諾料など苦労が多いです。基本的に個人が所有する借地権はおすすめしません。

しかし、所有権に比べてとても安いです。売却や建替えをしないで、ずっと持ち続ける方針なら「収益性」、「子への相続」、「税金面」で非常に優れています。

借地権付き物件を購入する場合デメリットを理解した上で購入するようにしましょう。

特別な例【大阪市が所有する借地権ならOK】

特別な例ですが、私は大阪市が土地を所有している借地権付き物件は進んで購入しています。
なぜなら大阪市の借地権は土地を購入できるからです。
建替えの申請も形式的なものでうるさいことはまず言ってきません。
売却時に土地を購入して資産価値を上げてから売る手もあります。

上記のとおりマイナス要素がほとんどありません。

再建築不可⇒全損すると建替えができないよ

再建築不可の物件は、現在の建物を取り壊して更地にしてしまうと新しく建築できません。火災で全焼して更地になった場合も新しく建築できません。

内部要因、外部要因を問わず建物が全損してしまうと新しく建築することはできません。その土地は何も建てられない更地(空き地)になります。

なんらかの事故で全損した場合に備えて火災保険に入っておきましょう。事故で全損した場合は、新しく建てることはできず、どうすることもできないのでこの物件は諦めなくてはいけません。火災保険の保険金をもらって次の物件を探しましょう。

再建築不可の物件が更地になった場合でも、立地が良ければ、駐車場や廃置き場、トランクルーム(プレハブ)として活用は可能かもしれません。

接道義務を満たさない場合は再建築不可

接道義務:「幅員4m以上の道路に2m以上接していないといけない」

上記の物件は接道義務を満たしているため建替え可能です(再建築不可ではありません)。

接道義務を満たしていない場合は再建築不可です。

物件概要に「私道」と書かれている場合は再建築不可の可能性が高いです。

増築、改築はできない。4号建築物なら大規模な修繕、模様替えはできる。

再建築不可の物件は増築と改築はできません。👇

増築と改築ができない
  • 増築延べ床面積を増やす工事のこと
     例)2F建てを3F建てにする
     例)土地の敷地内に新しい構造物を新築する
  • 改築:現在の建物を解体して建て直すこと、または現在の建物の一部を撤去して一から造りなおすこと

しかし、再建築不可でもほとんどの物件は大規模な修繕と模様替えはできます。👇

大規模な修繕と大規模な模様替えはほとんどの物件ができる
  • 大規模な修繕
    主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根または階段)の半分以上を同じ材料で復旧すること
  • 大規模な模様替え
    主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根または階段)の半分以上を新しい材料でつくり替えること

再建築不可でも大規模な修繕や模様替えができるほとんどの物件とは?👇

再建築不可でも大規模な修繕や模様替えができるほとんどの物件
  • 4号建築物(木造2階建て、延べ床面積500㎡以下の建築物)

上記のとおり、大規模な修繕と模様替えができるのは4号建築物(木造2階建て、延べ床面積500㎡以下の建築物)です。木造3F建ては対象ではないので注意してください。延べ床面積が500㎡以下はほとんどの物件が該当していると思います。

4号建築物は建築基準法で「建築確認申請をして、建築基準関係規定に適合しているか審査を受ける必要はない」と明記されています。ここが抜け道ポイントです。3F建てはこの記述がないため抜け道がなく大規模な修繕や模様替えができません。

再建築不可のまとめ

  • 全損すると建替えできず更地にするしかできない
  • 接道義務を満たさない場合は再建築できない
  • 全損した場合に備えて火災保険にはいっておこう
  • 増築、改築はできない
  • 4号建築物は大規模な修繕、模様替えができる

テラスハウス⇒壁を共有した戸建です

テラスハウスとは、隣の家と共用の壁で連続している2階建ての長屋です。戸建がくっついて並んだイメージです。

メリットは戸建の感覚で住めて購入価格が少し安いことです。

デメリットは壁を共用しているため隣の家の生活音が聞こえることです。

築古のテラスハウスは音について考慮されずに建てられている場合多く、騒音問題が発生しやすいです。

お金があるなら防音設備ですが、費用対効果があまり良くありません。家賃を下げれば音問題は気にしないという人も一定数いますので、そういった人をターゲットにすればいいでしょう。

まとめ

投資用の物件探しでやけに安いと思った場合は、物件概要に「借地権」、「再建築不可」、「テラスハウス」がないか確認し、マイナス要素を理解し、覚悟した上で購入しましょう。

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